調べ学習にもつかえる! 磯田道史著『天災から日本史を読みなおす』中公新書2295・『絵図で読み解く天災の日本史』別冊宝島2339

 今や日本全国、どこでも地震などの自然災害の恐れがあるのは、皆の知るところ。このブログを見たあなたは、自分の身を守るにはどうしたらいいか考えているかもしれませんね。それを教えてくれるのが、磯田道史著『天災から日本史を読みなおす』中公新書(2295)と、同じく磯田道史著『絵図で読み解く天災の日本史』別冊宝島(2339)です。

 

 1冊目の天災から日本史を読みなおす - 先人に学ぶ防災 (中公新書)は、文が主体です。高校生以上なら、興味深く読めるでしょう。

 2冊目の絵図で読み解く天災の日本史 (別冊宝島 2339)は古地図の写真やグラフなどが多く、ビジュアルで分かりやすくなっています。小学校・中学校の総合学習や、調べ学習、地域学習等にも使えるかもしれません。あなたが、小・中学生ならもちろんのこと、先生方や保護者のみなさんも是非参考にしてみてください。2冊目のこちらの本は、今のところ出版社では売り切れです。古本屋もしくは図書館で探すとよいでしょう。古本屋には、ネットで便利な日本の古本屋(日本の古本屋)があります。また、最寄りの図書館にない場合は、他図書館から取り寄せてくれるサービスを頼んでみましょう。

 さて、本の内容ですが、1冊目の天災から日本史を読みなおす - 先人に学ぶ防災 (中公新書)は、全国各地の災害史と、歴史的な出来事が密接に連動していることを、各地に伝わる石碑や古文書から紐解いてあります。この本は、豊臣秀吉江戸幕府といったテーマに絡んでいるため、歴史好きな人にとって面白いのはもちろんのこと、歴史になじみのない人にも、比較的わかりやすく説明してあります。朝日新聞の連載を加筆修正して書籍化したものとあって、万人向けのわかりやすさと、歴史的なことを伝えるための特有の詳細さがバランスよく考えられています。

 著者の磯田道史氏は、歴史学者として『武士の家計簿』を出版後、テレビなどでも活躍されているので、ご存知の方も多いでしょう。磯田氏が研究者として静岡県浜松市にある文化芸術大学で研究し、同県に在住中に出版されたのがこの本です。磯田氏は、この本で静岡県のことを沢山書いています。静岡県の人は、富士山のほか、伊豆、三保、浜松、磐田、袋井(浅羽)、掛川(横須賀)など知っている土地の名前のオンパレードで、とても詳しく書いてあるので、ちょっと感激するかもしれません。また、静岡県以外にも、東北、関東、京都、大阪、岡山、佐賀など、各地で起きた地震津波、富士山の噴火にともなう火山灰の降灰や、台風による高潮などの自然災害と、歴史的事件のつながりについて解説してあります。そちらにお住いのみなさんも、是非参考にしてみてはいかがでしょうか。

 2冊目の絵図で読み解く天災の日本史 (別冊宝島 2339)は、秀逸な編集で、全国各地の歴代の災害から、現代の災害、そして予想される未来の災害がビジュアルにまとめてあります。とても使い勝手がよいと思います。とくに目立った災害は、古文書や古地図を載せてあり、さらに、将来の南海トラフ地震で、北海道から中国・四国地方に至るまで、各地に予想される津波の高さを棒グラフでわかりやすく表示してあります。災害の予想は、テレビやネットの情報でも、すでに流れていますが、断片的ですし、映像だと時間とともに記憶から薄れてしまい、探すのも一苦労だったりします。しかし、この本は、1冊のコンパクトなページ数でまとまっています。秀逸な編集に感謝です。

 みなさま、是非参考にしてみてくださいね!